中国南西部の貴州省甕安県で6月28日、1人の少女の死について現地警察が発表した検視結果に住民の怒りが爆発、数千人規模の暴動が発生する騒ぎが起きた。29日、国営新華社通信が報じた。
新華社によると、暴徒は自治体庁舎や現地警察署の建物3棟を荒らしたり火を放ったりしたほか、路上の車に火をつけた。インターネット上の複数のブログには甕安警察署前に集まる数千人の市民の写真が掲載された。警察署の窓ガラスは割られ、建物からは煙が立ち上っていた。
複数のブログは、少女の家族が現地の役人の息子を犯人と名指ししたが、現地警察が少女の死を「自殺」と断定したことを知り憤慨したと伝えている。
香港に拠点を置く「中国人権民主化運動情報センター」によると、抗議活動を行った1万人以上のうち警察との衝突で約150人が負傷、これまでに約200人が逮捕された。現地には1500人以上の武装警察官が派遣され、29日には自治体や警察署の建物を荒らした際、ビデオに撮影された暴徒の摘発を進めているという。
AFPが取材した地元に住む女性によると、警察の捜査結果に抗議した少女のおじは「警察官か、警察が雇ったギャング」に激しく殴打され、28日午後、病院で死亡した。少女のおじは地元の学校の教師だったため、この男性の死を知った教え子たちが警察署に押しかけた。警察署で数人の学生が殴られると、学生たちは警察の建物と車両に火をつけたという。また、少女の遺体は祖父の許にあり、警察に渡すことを拒んでいるという。
インターネットで検索すると関連の書き込みが多数ヒットするが、29日にはそのほとんどがアクセスできなくなっていた。政府がアクセスを規制しているとみられる。29日、現地警察署や地元自治体に電話取材をこころみたが応答はなかった。
新華社は「一部のグループが、群集に警察と地元自治体庁舎、(共産党)委員会の建物の襲撃を扇動し、少数の犯罪者が公共施設と車両を襲い、放火までした」と伝えた。29日午前には群集は排除され「事態はこれ以上悪化しない。基本的に秩序は回復した」と新華社は伝えた。
中国政府と警察は8月の北京五輪開催を前に、中国全土で治安維持に力を注いでいる。
『中国・貴州で数万人暴動 少女殺害捜査に不満 公安庁舎に放火』
【2008年6月30日 中日新聞朝刊】
【貴陽(中国貴州省)=小坂井文彦】中国貴州省甕安(おうあん)県で28日午後、中学2年生の少女(15)に対する強姦(ごうかん)殺人事件の捜査に市民が不満を抱き、数万人が県政府や公安局の庁舎を襲撃する暴動が発生した。報じた香港紙各紙のうち「明報」によると、警官の発砲で市民1人が死亡した。
中国では近年、当局の不正に対する抗議行動が各地で相次いでいるが、数万人規模の暴動は異例。国営新華社通信も暴動発生を報じ、8月に北京五輪開催を控える胡錦濤政権にとって看過できない事態となった。
少女が今月下旬に殺害された後、公安当局は無職の男2人を逮捕したが、翌日釈放。捜査状況と死因を当局に問い合わせた少女の家族は警官に殴られて病院に送られたという。
インターネット上では、「逮捕された1人は副県長の息子だから釈放された」と書き込みされ、怒った少女の同級生が抗議行動を起こし、市民数万人が加わって暴動に発展した。公安局庁舎が放火され、1階から3階まで全焼。警察車両など十数台も燃やされ、周辺には黒煙が上がった。
消防車が駆け付けたが、学生たちはおので消火栓を壊し消火活動を妨害。警官隊は催涙弾を発射して威嚇したが、暴動は29日未明まで続いた。
暴動鎮圧のため武装警察が動員され、市民約150人が負傷、中学生約30人を含む約200人が拘束されたという。
同県では、少女のほかに複数の女子生徒が殺害されているが、捜査が進んでいないとの情報もある。
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