トヨタ3月期決算、09年は約3割減益予想


トヨタ自動車は8日、2008年3月期の連結決算を発表、当期純利益は前期比4.5%増となり、過去最高を更新した。一方、09年3月期の連結業績予想は、円高や原材料費の高騰の影響により、売上高が前期比4.9%減、営業利益が同29.5%減と、9年ぶりの減収減益の見通しとなった。(c)AFP
  『トヨタに業績予想上振れの思惑、価格交渉の結果も株価を左右』
  2008年5月9日(金)13:13
【東京 9日 ロイター】大幅な減益予想を8日に発表したトヨタ自動車株が、9日の市場で下げ渋っている。トヨタの見通しに対して「保守的」との声が市場では多く、為替や世界経済の行方によっては上振れの可能性もあるとみられているためだ。
鉄鋼メーカーなどとの原材料価格交渉が有利に決着すれば、さらに上振れ要因が加わる展開になり、トヨタ株の買い材料になりそうだ。反面、そうした結果になれば素材メーカーの業績圧迫要因になるだけに、今後の価格交渉をめぐる素材メーカーと加工メーカーの綱引きの行方が、両業種の株価動向を大きく左右しそうだとの見方が市場で浮上している。

<トヨタは売り一巡後に下げ渋る>
トヨタが8日に発表した2009年3月期連結営業利益見通し(米国会計基準)は前年比29.5%減の1兆6000億円にとどまり、9年ぶりの営業減益。ロイターエスティメーツによる主要アナリスト20人の予測平均値1兆9986億円を大きく下回った。これまで予想営業利益が1兆7000億─1兆8000億円程度と一部で報じられた経緯があり「この観測が個人投資家のコンセンサスになっていた可能性があり、機関投資家のみならず市場全体でネガティブサプライズ感を誘った」(中堅証券幹部)という。
市場では「2割程度の営業減益までは織り込んでいただろうが、実際は3割近い減益予想。市場の予測を下振れたことで、いったんは売り材料となるかもしれない」(リテラ・クレア証券理事の井原翼氏)との声も出ていたため、9日の株式市場において同社株の動きが注目されたが、朝方に売り気配で始まった後、一時は前日比で260円安の5220円まで下げてからは次第に戻り歩調に転じ、前引けは同160円安の5320円となった。

全体の相場に与えた影響についても「自動車株などに安い銘柄が目立ったが、トヨタの影響というよりも、ここ一両日でドル安/円高に振れた為替相場が理由として大きい。日経平均の下げ幅が100円台であることからすると“トヨタショック”という動きとは言えない」(準大手証券情報担当者)と指摘されている。

 <保守的な見通し、むしろ信頼性を高める>
トヨタが下げ渋ったのは、慎重な見通しを立てた姿勢そのものが評価されたとみる関係者が少なくない。トヨタ側の収益見通しについて「世界販売906万台は前期からほとんど伸びていない。北米販売にいたっては減少を予想しており意外感がある。為替、米国経済減速、原材料費上昇など様々なリスクを織り込んだ保守的な数字といえる」(UBS証券のシニアアナリスト・吉田達生氏)といった指摘があるなど、アナリストの間では保守的であるとの見方が支配的だ。

ゴールドマン・サックス証券・アナリストの湯澤康太氏は「会社計画はあらゆるリスクを織り込んだ最低水準。29%減益のガイダンスが同社の相対的な優位性を揺るがす事象ではない」とし、買い推奨を継続している。

市場関係者の間からは「米国景気の動向にもよるがこれだけ保守的にみておけば、今後の下方修正リスクは乏しいとの受け止め方になっている」(いちよし証券・投資情報部チーフストラテジストの高橋正信氏)との声も出ており「変わらぬ骨太の経営姿勢に信頼感が高まる」(モルガン・スタンレー証券・アナリストの平形紀明氏)といった点から、下値が買われる理由になったようだ。

<企業業績は「素材と加工の綱引き」に関心>
他方、今後はトヨタの収益がどの部分で上積みされてくるかがポイントになる。とりわけ交渉の仕方によって収益が大きく左右される原材料価格に注目する関係者が少なくない。

最低限の予想との見方から、トヨタは鋼材価格の値上げをかなり織り込んだ数値を示したとみられている。

一方で、素材メーカーなどは「値上げ交渉への影響を考慮し、強気の収益予想を控える傾向が強い」(準大手証券情報担当者)という。たとえば09年3月期の見通しについて大幅減益予想になると発表した新日本製鉄<5401.T>は、どの程度の値上げを要請しているかといった業績に直結する詳細は、明らかにしなかった。

市場では「いずれも大幅減益を想定したトヨタと新日鉄は、お互いにけん制しているように感じる。価格交渉次第でどちらも収益上振れが見込めるようになるとみられるため、交渉の行方が重要になろう。これは両社以外でも言えることで、素材と加工両業種の綱引きが、個別の株価形成において関心を集めることになりそうだ」(明和証券・シニアマーケットアナリストの矢野正義氏)との指摘もある。

  トヨタ自動車が8日発表した2008年3月期連結決算は
  新興国を中心に海外販売が伸び、
  売上高が前期比9・8%増の26兆2892億円、
  営業利益が1・4%増の2兆2703億円となり、
  いずれも過去最高を更新した。
  08年3月期の販売台数は38万9000台増の
  891万3000台。
  最終利益は4・5%増の1兆7178億円だった。

  一方、今季の予想では、成長路線に変調を来たし
  『潮目が変わった』状況で、円高と米国景気の減速、
  原材料高の『三重苦』を
  コスト削減や新興国向け販売増では補いきれないとして
  売上高が4・9%減の25兆円、
  営業利益は29・5%減の1兆6000億円を予想。
  一転して9年ぶりの減収減益となる見通し。
  販売台数は14万7000台増の906万台を計画。
  最終利益も27・2%減の1兆2500億円を見込んでいる。
  想定為替:1ドル=100円(前期114円、−6900億円)
  原材料費 +3000億円 

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